やる気には2種類あります。自分が楽しくて自ら進んでやる気と、他人から無理矢理やらされるやる気です。
前者を内発的動機、後者を外発的動機といいます。どちらのやる気を出したいのか?一般的には前者ですよね。
今回はどうしたら内発的動機を高めることができるかについて説明します。
まず結論から言いますと、内発的動機を高めるには以下の2つの要素が重要です。
- 自己決定感
- 有能感
それでは順に説明していきますね。
自己決定感
全てを自分の意思で決めることができていると感じていることです。
丁度宿題をやろうとしている時に親から「宿題をしなさい!」と言われて、全くやる気が無くなってしまった経験は無いでしょうか?
人はたとえ自分がやりたくて今からやろうとしていた事であっても、人から「こういう風にやれ!」と言われるとやりたくなくなる生き物なんです。
ですので、もしやる気を出したい出させたいということであれば、全てを当人に決めさせる必要があります。
「ほったらかしておいたら本当に何もしないよ」という人がいるかもしれません。
それでも、放っておくのが良いんです。というのは、脅しや報酬といった外発的動機づけはいわばモルヒネのようなものだからです。
最初は効果があってもどんどんその刺激に慣れていき、より強い脅しや報酬がなければ反応しなくなっていきます。
そうなるとお互いストレスとなり人間関係にも影響しかねません。
「馬を水飲み場まで連れて行くことはできるが水を飲ませることはできない」ということわざがあります。
あなたのできることは、環境を変えることだけであることを知っておいていただきたいと思います。
有能感
自分が有能であると感じられることです。
よく、小学校のころには神童といわれていたような子が、進学校に進んだとたん落ちこぼれて、全く勉強をやらなくなってしまうといったことがあります。
下手をすると不登校や中退といったことにも発展してしまいます。
有能感を得るポイントは、自分自身を有能と感じられる集団に身を置くことです。
先の例でいえば、進学校で成績下位グループよりは、標準的な学力の学校に進み成績上位グループに所属していた方がやる気が出て、その後の学力においても良い結果となるということになります。
どうしても、できるだけ高いレベルのグループに入れるということを本人も親も望んでしまいがちです。
しかし高い結果を得たいのであれば、実力よりも少し低いレベルのグループに入れた方が良いです。
なぜなら常に負け続けることは有能感をひどく低下させるからです。
大人が手加減をして勝たせてあげるといったことも、競争相手とすら見てもらえていないことになりますので、それを察知されると著しく有能感を低下させます。
まとめ
やる気を高めるには環境が最も大事です。
やる気が出ないのはやる気が出ない環境にいるからです。すぐに環境を変えるべきです。仕事でやる気が出なければ異動や転職をし、転職してもやる気が出なければ独立すべきです。
また勉強でやる気が出なければ、有能感を得るためにより簡単な問題から取り掛かるべきです。
部屋を片付けるのが面倒と思うような時には、10分以内にゴミを1つ捨てるとか、本を1冊本棚に戻すなどの容易な目標を自分で立て、それを達成することで自己決定感に働きかけてください。
報酬、褒め言葉、脅し、罰、暴力などによる外発的動機づけは、副作用をもたらします。
人があなたにそのような動機づけをしてくる場合には、その人に注意するか距離をおいた方がよいです。
既に内発的動機の高い人は、褒めてほしいわけでも報酬が欲しいわけでもありません。ただ自分が楽しくてやりたいからやっているだけです。
そのため、ご褒美を上げたり褒めたりすると次第にそれが目的となっていき、やる気が激減してしまいます。
例えば好きで楽しくやっていたのに、プロになった途端に報酬が目的となり、やる気を失い燃え尽きてしまうというようなことがあります。
また別の例になりますが、恋愛などで反対されれば反対される程燃え上がるということがあります。
反対されても行うということは自己決定感をとても高めます。絶対に覗くなと言われるほど覗きたくなってしまうものです。
親は子供に「ゲームをやめて勉強をしろ」と言いますが、もしそうさせたいのなら「勉強を辞めてゲームをしろ」と言う方が効果があります。
そのゲームをクリアするための計画を親が立て、その計画通りにやらせて進捗を口うるさく確認するのです。
これでゲームが嫌いにならない子供はいません。
人間が成長できるかどうかは、自ら環境を変える力があるかどうかであるということもできます。
もし最近「やる気が出ないなぁ」と感じているようであれば、やる気のスイッチを入れるために環境を変えることをオススメします。