三陽商会は1942年に吉原信之さんが創業した商社です。
現在はアパレルの輸入、製造、販売を行っている会社ですが、創業当時には切断砥石(金属を切るための刃)を販売していました。
その後、1970年にイギリスのバーバリー(BURBERRY)とライセンス契約を結んだことで事業が拡大することとなり、1977年に一部上場しています。
商会だけど実はメーカー
実は昨年まで日本で販売されているバーバリーは、三陽商会が製造をしていたことをご存じでしょうか?
三陽商会は自分達で製造したノーブランドの商品に、バーバリーのロゴを入れて販売することができるライセンス契約をイギリスの本家バーバリーと結んでいたんです。
そう、イギリスの本家バーバリーが販売する製品と、日本の三陽商会が販売するバーバリーは別物だったりしたんですよ。
製造ライセンス打ち切り
しかし2015年春夏シーズンをもって、このライセンス契約が打ち切られることになったため今、三陽商会は苦境に立たされているんです。というのも売上の大部分をバーバリーに依存していたからです。
三陽商会もライセンス契約が切れることは以前から分かっていたので、なにも対策をしていなかった訳ではありません。
バーバリーのロゴが使えなくなった後は、「マッキントッシュ ロンドン」というブランドを主軸に据えたり、今までバーバリーのロゴを付けて販売していた商品に「クレストブリッジ」というロゴを付けて売ればなんとかなると思っていたようです。
ですが、実際にライセンス契約が切れてみるとそれではダメだったようですね。
業績悪化
バーバリーのライセンスを有していた2015年春夏物シーズンまでは例年通りの売上でしたが、秋物シーズンからはライセンスが切れたため、2015年8月は昨対比77%の売上となり年間では昨対比70%まで売上が落ち込んでしまいました。
これが2016年になって復活したかというとそうでは無く、昨対比60%程度の売上で現在進行中です。見事にバーバリーありきの会社であったことを露呈してしまった訳です。
契約が打ち切られた理由
そもそも何故イギリスのバーバリーがライセンスを延長しなかったかというと、三陽商会の作るバーバリーと本家バーバリーの価格が全然違ったということが理由の一つとしてあるようです。
本家バーバリーは高級ブランドとして展開しているため、日本の数倍の価格で販売されていました。
また、そもそものデザインが異なることもあったので、グローバルでのブランド価値を高めるためにライセンスを打ち切ったのではないかと言われています。
まぁライセンスビジネスには常にこういうリスクはある訳です。
今後の戦略
IRを読んでみると今後の計画が詳細に記載されていました。まず、コスト削減としては以下のようなことをやるようです。
- およそ1300人中、250人のリストラ
- 不採算ブランドからの撤退
- 170の不採算売り場を削減
その後は、直営店やネットショップに力を入れる方針のようです。というのも現在は殆どの売上がデパート(百貨店)経由とのこと。
要はデパートに商品を卸していただけということです。
しかし昨今は百貨店よりは、ショッピングモールやネットショップで物を買う時代だったりするので、デパートへの卸だけではなく、自分達でライフスタイル型の自社ショップを作って売っていくということのようです。
ライフスタイル型ストアって「こういう物や服に囲まれるとこういう暮らしができますよ」
的な、世界観を売りにする、例えば「無印良品」とか「フランフラン」みたいな感じでしょうか?
それともセレクトショップ的なアパレルショップということですかね。うーん。まぁ、いずれにせよ新しい試みは良いことですね、今後が楽しみです。
ではでは、じぇーむでした。